Living in Germany

ドイツ人と国際結婚。夫&娘とドイツ暮らしです。

 

 

 

 

☆ドイツの介護の現状

5月からパパ(義父)が在宅での介護となり、ママ(義母)がつきっきりで介護をしているのですが、せっかくの機会なのでドイツの介護制度について私が見たこと、知ったことを書きたいと思います。

とはいえ、主にママから聞いたことなので裏を取っているわけではなく、一部間違った情報とかあったらすみません。でも、なかなか日ごろ耳にすることもない世界だと思うので興味のある方もいるかなーと思い。

日本の介護保険はドイツの介護保険を見本に作ったといわれているそうです。なので日本と似ているのかもしれません。

在宅介護の場合、その介護必要レベルに応じて保険でカバーされる金額が決まります。パパの場合、最初は介助があれば車いすに移動して座ったりもできた状態でお手洗いも夜はおむつでしたが、日中はお手洗いのついた(下にバケツのようなものがついている)車いすでするか、もしくは元気な時は車いすでトイレまで連れて行ったり。

その当時で一番最高のレベルより1段階低いレベルだとのこと。そのレベルに応じて給付金が出てその給付金をどう使うかは本人の自由。その金額内で介護ヘルパーを頼んだり、老人ホームに入る人はその費用の足しにしたり。ちなみに当時、その給付金の範囲では1日1回ヘルパーさんに来てもらうという程度でした。

その後、肺炎で入院したりを繰り返し、今はほぼ寝たきり。車いすに座ることもできません。ママはそれでも座らせているけれど、危なっかしい・・・。そして介護必要レベルが最高のレベルになりました。この時点で(保険にもよるのかもしれませんが)パパの場合は月に1600ユーロが支給されるとのこと。介護ヘルパーを1日に2回入れられるようになりました。

ちなみにこのヘルパーさんは土日は来ません。平日のみです。これは介護レベルが上がっても同じ。週末は家族で対応せよということなのでしょう。

また、おむつも保険からカバーされますが、テープタイプのおむつのみ。もしパンツタイプのものが良ければ一部自己負担になるそうです。

介護ベッド(自動で高さやリクライニングが調整できるもの)、お手洗い用の車いす、通常の介護用車いすはすべて保険から費用がカバーされて自宅に配送されて使用しています。

介護ヘルパーの仕事ですが、すべての作業が厳密に価格化されています。例えばお手洗いの介助は○ユーロ、髭剃り○ユーロとかそういう感じで。それがすべて請求書に反映されています。一度見たことがありますが、ものすごい細かい請求書です。あっぱれです。毎回ヘルパーさんは介護の後、ソファーなどに座ってその日の対応内容をファイルに書き込んでいますがこの時間が結構長いのです。

来る時間も大体という感じです。「大体12時ごろ」とかそういう感じ。きっちりとした時間ではありません。その代わり「明日は14時以降に来てほしい!」とかちょっとした融通は利くようです。1度来たら30分~1時間ぐらいはいます。パパのところに来るヘルパーさんは5人が1チームになっていて80世帯と言ってたかな、地域ごとにそのチームで回すそうで、毎回その5人の中の誰かが来ている状態でした。パパのところに来ているのは主におばさんかおじさん。若い人はいません。どの人もとっても優しくてまじめに働いている印象です。ママが時折コーヒーやチョコレートなどを出してます。

そのヘルパーとは別に、週に2回身体を動かしたりリハビリのようなことをする専門スタッフが来てくれますが1回15分。15分では短すぎる!とママがぼやいています。週に1回30分にもできるそうですが、時間よりは頻度ではないか、とのことで15分を2回お願いしているそうです。

あとは時々、相談員のような方が来ていろいろ話を聞いてくれたり在宅介護のアドバイスとかをしてくれるそうです。

ちなみに、在宅介護では家に住み込みのヘルパーさんのような人を雇う人も多いようです。ちなみに住み込みでも最低1か月2000ユーロ以上はかかるそうです。(たいてい東ヨーロッパの方で、直接雇用をしたりするらしいです、正式に雇用すると税金がかかるためお互いにとって不利になるので)

それ以外には、保険から月に240ユーロまでの範囲で一時的に不定期に介護に来てくれる人をお願いすることができるそうです。何らかの事情で留守にするときに代わりに来てもらって様子を見てもらう人。介護の教育を受けた人です。派遣センターみたいなところがいくつかあって、ママが色んなところを試しています。寝たきりのパパなので2,3時間ぐらいであれば特に何も起きないのですが、ただソファーに座って何してるかわからない人から、キッチンの食器を洗ってくれたり、お庭の芝刈りをしてくれたりその時間に別のことをしてくれる人もいるそうで、会社によって違うのか人によって違うのかがまだ見えてない状態です。

日本の介護保険のカバーするレベルに対しての知識がないため比較はできませんが、どうなんでしょう、色々違う部分はあるのかなあ。

私の母が介護の仕事をしていますが、土日関係なく行っているし、時間もきっちり決められていてその辺はドイツと全然違うし、その勤務時間とは別のプライベートの時間で報告レポートなどを書いて大変そうです。ドイツはそういうプライベートの時間に、とか絶対に無さそう。

Hausarzt(かかりつけ医)にお願いすれば家まで来てくれる日(パパのところは毎週金曜日の午後)があるそうで、お願いした場合1回につき8ユーロ支払う必要があるとか。

歯医者さんも訪問診察しているところがあるようですが、予約は数か月先まで取れないそうです。先日差し歯が壊れたパパ、ママが知り合いの歯医者さんにお願いして特別に来てもらっていましたが、保険などとは完全に関係ない世界で直接支払ってましたが結構な額でした。

ママはパパを絶対に家で看取りたいんだそうです。その思いたるやすさまじく、入院しても医者が止めるのに家に連れて帰ります。それで肺炎が悪化したりしたのですが、病院だと食事も最悪だし、ずっと寝たきりで何もしてくれないからパパがさらに弱ってしまうからと、とにかくすぐに家に連れて帰ります。入院した場合も面会時間の最初から最後までつきっきりでパパの面倒を見るママ。本当にものすごい構いようで、ママを見ていると私はそこまでできないと思ってしまいます。今のママの生きがいがパパの介護なのではないかと思うほど。

ママも相当疲れていますし、その分私たちに多く負担が来ています。旦那は一人っ子なので仕方のないことでもありますが、負担は少なくはありません。私が育児休暇の今だからできることも多く、仕事復帰したらいったいどうなることやら。

パパは先日82歳の誕生日を迎えました。少し痴呆も入っている感じですが、波があるようでしっかりしていることもありますが、話すのもしんどそうであまり会話は成立しません。自分の体が動かないことを受け入れたくないのか、受け入れられないのか、「外に行く」とか「起き上がる」とか自分ではできないことを「やる」と言ってはママを困らせています。また攻撃性痴呆というそうですが、ママだけに対して攻撃的になることがあります。力はないので口撃という感じですが、結構きついことを怒鳴ったりするそうです。私は時々目にしますが、もうパパが何を言っているかわからないのでそれが「きつい言い方」なのかどうかまでは理解ができません。

数年前、当時ブログにも少し書きましたが今のパパたちの家は田舎だし近くにお店もないし、3階建てで大変だし、買い物などにも便利で、アパートの1階とかで負担にならない場所に引っ越さないかと、まだパパも元気だったときに私と旦那から提案しました。しかもそのアパートは私たちが買ってあげるという条件で(その変わり今のパパたちの家に私たちが住むという方向で)。

でも当時はパパもママも反対しました。「この家で最期を迎えたい」んだと。今のこのような状態になることは予想もしていたし、だからこその元気なうちの提案でしたが却下されました。今の家ではパパが階段の上り下りができないので、ずっと玄関ホールに介護ベッドを置いてパパは寝ていました。冬が来たら寒くなるしと先日、業者にお願いしてリビングにパパを移動させました。もちろん移動にはお金を払っています。が、今度はバスルームが同じフロアにありません。なのでシャワーはできず、体を拭くのみ。すべての部屋がカーペットなので車いすでの移動も結構大変です。

パパたちが買った家だから、当時私たちは強くは言えなかったけれど、結局今になってこのようなことになり、買い物一つ出来ない場所で不便極まりない生活になりました。まだパパが寝込む前に、もう高齢だからと説得して車を手放したのですが、車がなくなったら買い物もいけない!という状況になりとても不便な日々でした。

2年ほど前、旦那の叔父さん夫妻がまだ元気なうちに!と大きな家を引き払って徒歩数分の範囲にすべてのお店がある小さな町のアパートの1階に引っ越しました。たった2部屋の小さなアパート。家具も全部入らなくて多くを手離すことに。それでも今後のことを考えたら!と、元気なうちに引っ越しました。そうやって先を考えることはとても大切なことだと思うし、私たちもいずれ老後になったときに考えなければいけないことだと思っています。幸か不幸か、パパやママの状態を見て、反面教師ではないけれど「こうなってはいけない」と旦那とも今から考える良い機会にもなりました。

お金の面でも介護の面でも娘に迷惑はかけたくないし、大きな遺産は残せないけれど迷惑だけはかけない人生にしなければ!と常に話しています。もちろん思い通りにいかないこともあるだろうし、先は分からないけれど。

ただ、一つ言えることは旦那のパパやママは息子が近くに住み、すぐに来てくれて手伝ってくれて、嫁さん(=私)も(ぶつぶつ言いながらも)いろいろやってくれて、本当に幸せな人たちだなと。そこを幸せと思わず「当たり前」と思われているところに私は「どうなんかなー」と思わずにはおれませんが。

幸いにもまだ日本の両親は介護の域には入っていませんが、今後どうなるか、そうなったときにどうするのか、いろいろ考えさせられる日々です。