Living in Germany

ドイツ人と国際結婚。夫&娘とドイツ暮らしです。

 

 

 

 

☆実家の片付けのこと

緩和ケア病棟に移ったママは、その後少し元気になり、車いすに座れるまでになりました。ただ痴呆のため話していることはあやふやで、パパが亡くなったことも忘れているのか「今日もパパは来ないのね」と言ったりします。

癌ではありますが痛みがあるわけではないので「緩和」すべき治療がなく、緩和ケア病棟で出来ることもなく、そうなるとずっと入院はできないそうで、結局先日また介護ホームに戻りました。介護ホームだとまた何かあったときに病院に運ばれて・・・を繰り返すので、先生はホスピスという選択もあると言ってくれたのですがママが嫌がるので介護ホームに入りました。前にいたホームで同じ部屋で同室のおばあちゃんも同じなので戻ってきた感じですけどね。

でも見ているとホスピスも介護ホームも日常のケアとしては変わらないように感じます。介護ホームは少しアクティビティがあるようですが、それもママは長時間座ってられないし参加できません。そういう他の患者さんとの交流などがあるのはいいかもしれません。食事も食堂で食べますし(ママはベッドで食べてますけど)。

介護ホームに入るときに在宅緩和ケアを紹介してもらって、このエリアで在宅緩和ケア(介護ホーム等も含む)のチームがあってそこの先生が介護ホームに来てくれました。でもその先生もママの状況を見て緩和ケアチームが関わる案件ではないとのことで、お願いできないことになりました。もし対象であれば、週に2回ほど介護ホームに来てくれて様子を見てくれるそうです。

その在宅緩和ケアのチームは地域のお医者さん(かかりつけ医などで開業医をしている先生方)が中心となってチームを組んでいて、その先生方の中にママのかかりつけ医の先生も入っていました。ママのかかりつけ医の先生はママのことを突き放した感じもあり(ここ数年ママが電話ばかりして鬱陶しいんだと思います)その先生がそのチームにいるとなると先生もだし、ママも嫌がるかなあと思ったりもしていたのですが、結局なくなったのでそれはそれで良かったのかもしれません。

ママは体を起こす介助は必要ですが、ベッドの淵に自分の力で座っていられるぐらいにはなっていて、2週間ほど前に、もう今日か明日か・・・みたいにかなり危なかった時があったのですが、先生が言うにはあれは放射線治療の副作用が高齢で身体も弱っていたので長引いたんでしょうとのこと。今も危ない状況に変わりはありませんが、何かがあったら危ないというだけで何もなければ大丈夫だそうで、当面心配いりませんとのことでした。

旦那はホッとしてはいますが、気持ちは複雑なようです。ママとの会話はあまり成立せず、ママが話していることは時々とてもはっきりしているのですが、受け答えにはなっていなくて、旦那がAの話を問いかけてもママがBの話をずっとしているという状況。でもそのBの話の内容自体はしっかりしているという感じ。

また、ママは旦那には彼女がいると思っていて、その彼女を早く紹介してほしいとそればかり言います。私と彼女との三角関係なんだそうです(笑)。私にも「もう会ったの?」とか言ってきます。こういう問いかけとかに何と答えればいいのか、そしてドイツ語だし、ママもしんどいから聞き返すのも悪いし、あやふやにして答えなかったらもう一度聞いてきたりして対応に困ります。

ママが落ち着いたので近いうちにパパのお葬式をすることになりました。

で、何をしたらいいの?誰を呼んだらいいの??ってな感じですよ・・・。パパのお友達は大体わかるものの、この人を呼んだらこの人もかなあ?みたいなそういう微妙な部分がわからず。招待状を送る住所がわからなくてそれもまた集めねばならず、とはいっても家のどこかにそんな住所がきちんと書かれて保管されてるでもなく・・・。「家族だけで構わない」とか言い残しているわけでもなくて、もうどうしたらいいやら。まだママが元気だったらせめて誰を呼ぶかぐらいはママに聞けたものの、今はそれも出来ず・・・。

旦那は一人っ子です。嫁は外国人です(←私)。色々大変です。私も出来る限りのことをやってますが、これまたしっかりやってもなかなか進まないことも多くて日々イライラ。パパが使っていた介護ベッドや車いすの引き取りに2つの業者に連絡してるのですが、電話に出ない、留守電に残しても折り返しがない、オペレーターと話したのに2週間たっても折り返しの電話がない、再度電話したら「今、休暇のスタッフが多くてなかなかアレンジできないわ」とか言われ、かと思えばその業者から「電話したのにつながらない(←実家に電話されている)アポイント取りたいので連絡してください」って封書が来る・・・なんてことの繰り返し。もちろん私の携帯番号を伝えて、実家は不在だとオペレーターに2回も伝えたのに・・・。

もうかれこれ1か月ぐらいその2つの業者と連絡を取り合ってますが未だ引き取り日程も決まらず引き取られず。2つの業者がどこの業者で連絡先がどこかってのを調べるのすら時間がかかり(結局保険会社が費用を負担してくれているので保険会社に確認しました)、取り外した車いすのパーツとかそういうのを家中探し回って準備するのも時間がかかり・・・。車いすの部品は旧子供部屋の机の下の奥に押し込まれていました・・・。それらのリースの契約書は古い書類の山の中に入っていました。

ママがまだ生きているのに、実家の片付けを始めるのはどうなのか?というコメントを頂きました。たぶん同じように思っている方も多いはず。

片づけに関しては旦那は納得しています。ママにも伝えていますが、どの程度の片付けをしているかまではハッキリとは伝えていませんが、その辺の口裏も旦那と上手く合わせています。もしママが実家を最後に見たいとかそういう話になったとしても、見かけは何も変わってません。ママが開けることのないような棚の中、立ち入らないような部屋の中、それだけでもまだまだ終わりません。

少なくとも、もしママが元気になって帰って来てくれたら、今だったら前より断然生活しやすいはずです。物は減って探し物はしなくていいし、超便利な場所の引き出しや棚が使えます(笑)。

とはいえ、私が育児休暇の間は時間があるので、今のうちに出来ることをしなければいつまでたっても終わらない。ゴミにだってお金がかかります。とりあえず定期的に来るゴミの回収のチャンスを最大限に活用して処分できるものはしていって、最後はコンテナとか業者に頼むとか大きな話になると思います。それはさすがに今できることではないですが。

旦那は一人っ子。ええ、パパたちの家も相続されます。でも・・・正直に言ってしまいますが、その家のローンがまだ残ってるんです。その借金も私たちが引き継ぐことになります。どれだけ探しても貯蓄口座なんてありません。年金が振り込まれるいつもの口座だけ。ママの介護ホーム代等をその口座から払いたいのに、パパ名義だったためパパが亡くなって口座が凍結されてしまいました。パパのカードは旦那が持っていて必要に応じて引き出していたのですがそれが出来なくなりました。この口座にアクセスできる(らしい)ママはママのカードの暗証番号を忘れており、出金できません。そしてその銀行は誰も聞いたことのないような小さな銀行で支店が全くなく、通帳記入(残高照会)すら月1回の郵送です。

その口座にアクセスさせてもらうには、パパからの遺言?遺産相続書?みたいなのが必要で、それもパパは書き残しておらず、正式に手続きをしたら1000ユーロぐらいの手数料がかかるそうです。家の相続もその手続きが必要でいずれにしてもいつかは手続きをしなければいけないのですが、そんな支店もない銀行相手に手続きしている余裕もなく、今現在発生する費用はすべて私たちが負担しています。

ママがまだパパの介護で家にいたころ、色んな支払いなど旦那は多少は手伝っていたのですが主にママが手続きを取っていて、それがもう出来てなかったんだけれど旦那も全てに関与しきれてなくて、今になってその頃の支払いが未払いだとの督促通知が来たりして、ただ単に入れ違いで来ただけの督促状なのか、それとも本当に払ってないのか通帳記入で確かめたいのですが、通帳記入する支店がないので封書で届くまで待たなければならず・・・もうほんとぐっちゃぐちゃ。

一人っ子だし遺産を争う相手もいない、っていうか遺産なんてなくて負の遺産なんだけれどそれも引き継がなければならない。放棄もできるだろうけれど、でも家を手放すことを考えたら旦那名義にして支払ってしまうほうが良いので、これはもう以前から分かっていたから旦那もそれは計算の上でしたが、それでも遺産相続書とかそういうのって、ちゃんとやっておいてよ!と旦那も呆れていて・・・。

旦那がもっとしっかして親に言っておくべきだったんです。旦那はとても優しいです。誰に会せてもみんな「優しい旦那さんだね」って口をそろえて言います。私もそう思います。だけどそのやさしさが優しすぎて、親にも厳しいことを言えなかった。それでも色々考えていた旦那がまだ元気だったパパとママにその話を切り出しても「そんな死んだ後の暗い話はまた今度、せっかく一緒にご飯を食べてるんだから何か楽しい話をしましょう!」って言うママに反論できず話が進まず。そういう状況を私も見てきたし、旦那のお尻は叩いていたけれど・・・。

旦那はこんなに早くママがこうなるとは思ってなかった・・・とは言いますが、ママがいたところで家も何もかもパパ名義だったから、パパがしっかりやっておくべきことだったしママがいてもあまり変わらなかったかもしれません。

で、今この状況です。ローンは残っているわ、ぐちゃぐちゃな家は残っているわ、家を片付ける業者代なんてもちろん残っておらず、それどころかお葬式の費用すらあるのかないのかという状況。

大きな遺産なんていらないから、家のローンは払い終えていてほしかった。お葬式代、片付け代ぐらいは残しておいてもらえたら助かったのに。それか片付け代なんていらないから、片付けておいて欲しかった、お金よりそっちのほうがいいかな。

パパもママも外国人の私を本当の娘のようにかわいがってくれてそれはそれで本当に感謝しています。色々愚痴もあったけど、孫のことも可愛がってくれて、鬱陶しいところもあったけど元気でいてくれるならそれはそれでありがたいこと。だけどこうなってしまった今、正直に言いますが私はその感謝の気持ちよりも苛立ちのほうが強いです。たぶんこれが本当の自分の親だったら苛立ちよりも親を思う気持ちのほうが強くなるのではないかと思います。

私も子供が出来て、親の気持ちと言うのを少しは理解したつもりです。娘に苦労をしない人生を歩ませたいとは思いません、いろんな苦労や挫折も味わってこその人生だと思います。だけど親が子供に掛けてしまう負担や苦労はなるべく最小限にしたい。ゼロとは言えない、それは自分たちがいつか年老いたら少なからず迷惑はかけると思う。私だって今自分の両親のことを助けたいと思うし、多少何かあっても助けてあげる気持ちもあるし、だけど両親だって「子供には迷惑をかけない」という気持ちがある。

旦那のパパとママにはそういう気持ちは無かったんだろうか?と思ってしまいます。せめて自分たちがいなくなった時に、息子に、しかも一人しかいない息子にこんなに負担をさせることをどう思っていたんだろう。もちろん多少は申し訳ないとは思っていると思う。悪気があったわけでもないと思う。だけど、もっともっと元気なうちにできたことは山ほどあって、家の相続だってちゃんとやっておけばよかった。正式に相続しないならしないで書類だけは書いておくとかできる準備はあったはず。貯金だって、せめてお葬式代や家の片付け代ぐらいは残しておいてほしかった。いつも「年金が少なすぎる、マルクがユーロになって損した」とかそんなことばかり言っていました。

もし今パパが生きていたら、「あのジオラマは自分が亡くなった後どうするつもりだったの?」、ママがしっかりしていたら「実家にある大量のモノをどうするつもりだったの?誰かが片付けれくれるからそれでいいやって思ってたの?」って聞きたい。もちろん誰も「死」について考えたくはないし、それに向けて片付けるのもいい気分ではないかもしれないけど、でもあまりにも無責任すぎる!まだ元気なうちに出来たことなんて山ほどあった。日常使っているものならわかるけど、もう何十年も手をつけていないようなものばかり。パパの介護が大変だった、とか、体力的に無理だったとかそういうここ数年のことではありません。

家から出てくる溢れんばかりのモノ・モノ・モノ。私がパパとママと知り合ってからの10年ぐらいは決して裕福な暮らしはしていなかったけれど、もうちょっと整理整頓して「見つからないから新しいのを買う」というような無駄な買い物をしないように気を付けてくれていたら、お金も多少は溜まっただろうし、ひいては今私たちが直面している片付けだってもうちょっとマシだったはず。

ママがここ数ヶ月、自由が利かなくなったので私に「お金は渡すからもうロトはあなたがやってちょうだい」とロトのグッズを私に託してきました。1週間10ユーロ、4週間に1回買う必要があります。「儲かったらあなたにあげるわ」ってママは言ってました。ママから引き受けて以降、ママには「今週もダメだったよー」とは言っていたものの、本当は一度も買っていません。ママも忘れちゃったのかもうロトの話はしなくなりましたけど、ここ数ヶ月私が買わなかった、もうそれだけでかなり無駄遣いが減りました。ロトをやることを否定はしません。夢を見ることも悪くない。だけどもう40年?50年?ずっとロトをやってきて、一方で年金が少ないだのなんだのと愚痴ばかり。「このお金、貯めておいたら今頃すごいことになってるじゃない!」って気づかなかったのかな。

私が今片づけに専念しているのは、一日も早くあの家を空にして売るなり、賃貸にするなりお金を生むこと。あのまま放っておいてもなんの足しにもならい。私たちの時間が削られ、無駄な光熱費や固定資産税などを払い続けるだけ。

もちろん私も心の片隅では、ママに片づけてしまって申し訳ないという小さな罪悪感がないわけではないけれど、それより苛立ちのほうが大きいので、万が一ママが帰ってくることがあったら・・・ということはちょっとは意識はしてますが、バッサバサ片づけてます。でも悲しいかな、これだけやっても部屋の見かけは何ひとつ変わってない・・・。

こんな苛立つ中でも一つ良かったことは旦那と自分たちの将来について考えられたこと。娘には絶対に絶対に同じ苦労をさせてはいけないと強く思えたこと。ものを増やさないのはもちろんのこと、色んな手続きも少しずつ始めました。娘が法的に許される年齢になったら早い段階で家の権利を娘に渡してしまおうとかそんな話まで。

娘が保育園に慣れたら数時間は時間があるので、私は自分たちのいろんな書類を今一度すべてチェックしてわかりやすくファイリングする予定です。今も十分ちゃんとしている気もするけれど、どの資料が大切なのかとか今回色々わかったし、それを同じファイルに入れるとかそういうことを意識したいと思います。