Living in Germany

ドイツ人と国際結婚。夫&娘とドイツ暮らしです。

 

 

 

 

☆忘れられない日になりそう

今年の初めに同僚が貰ったというホテルのディナー券を私たち夫婦にプレゼントしてくれました。是非旦那さんと行って!とのことで。

この辺では超高級ホテル、っていうか普通は立ち入らないであろう超老舗ホテルのディナー券。娘を連れて行くわけにはいかないし・・・と全く使わぬまま今になり、有効期限が迫ってきました。たぶん普通に生活している上ではまず行くことはないホテルだろうし、こんなチャンスは二度とないだろうし、何とか行けたらなあ、、、でも娘をどうしよう・・・と。

ママが娘の面倒を見ると言ってくれてはいるのですが、パパの介護もあるし私はちょっと不安で、「パパは夜は寝てるだけよ」って言うけど、パパのことよりは、危険がいっぱいの実家に預けるのが怖くて・・・。こないだは割れたコップをリビングの机の上に置いたままにしていて、ママ的には「片づける時間がなかった」そうなのですが(あー出た出た、「時間がない」ってセリフ・・・)、介護ヘルパーさんに「お孫さんがいるし危ないわよ」って注意されてましたよ。そういうのが時々あって怖いんですよね。

そんな矢先、仲良くしている日独ファミリーがかなり近くに引っ越してきて、よく会ってるし、そこのパパもママもよく知っているし(あっ、この間4人でワインを4本開けたっていうあの日の夫婦です・・・)、快諾してくれたのでお願いすることに。

4歳のお姉ちゃんと娘と誕生日が10日ほどしか変わらない妹の二人姉妹。なので娘もお姉ちゃんにいつも遊んでもらっているし、安心かなと。

とはいえ、夜だし・・・、授乳は別に間隔があいても問題ないけれど眠くなってきたら泣くだろうしどうなることやら・・・と不安で不安で。

今まで昼間に病院に行く間に友達に2時間ほどみてもらったことはあって、その時は問題なかったのですが、あれから娘も成長して主張や自我も出てきているし、かなり不安でした。

ちょこちょこ近況報告をしたほうがいいか、それとも本当に困ったときに電話したらいいか?って友達が聞いてくれたので、「本当に困ったときに連絡頂戴!」と言い残し、娘を託したのが17時半。食事中も気が気ではなく、いつ電話が鳴るだろうか、とびくびく。

で、結局電話は鳴ることなく20時半に「今から戻るからー」と連絡を入れたら「みんな寝てるから大丈夫よー、ゆっくり戻っておいでー」と。えーーー!?寝てるの?ってびっくり。

戻ったら、寝袋に入ってすやすや寝てました(笑)。機嫌よく遊んで、寝る前にちょっとだけ泣いたけどパパが抱っこして寝かしつけてくれたみたいで全く問題なかったと。抱っこで寝かしつけとか私もできないわ・・・・、旦那なんて軽くショック受けてましたからね、寝かしつけは娘が泣きまくっていつもお手上げ状態なのに、それが友達のパパの抱っこで寝ちゃう!?

夕食もいただいて、あれがほしいこれがほしいと指さして主張していたようです。なんか私たちの心配をよそに普通に大丈夫だったみたいです。子供たちがいたというのもあるのかな。遊ぶのに夢中になってた時間が長かったみたいだし。

寝ている娘を抱いて家に戻りました。娘の顔のあたりから、抱っこして寝かしつけてくれたという友達のパパの香りがして、娘も娘なりに頑張ったんだな・・・と、ちょっとジーンとしました。1歳3か月、日ごろ保育園とかに預けていたらきっと大したことないのかもしれないけれど、私たちにとってはかなりハラハラでした。娘と離れた時間は過去最長でしたからね。

で、肝心のホテルのお食事なのですが、いやー、すごかった。

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1893年に建てられたというホテルは、夕方の薄暗い時間かつ天気が悪い日、ということもあって重厚とか荘厳とかいう言葉より、ドラキュラとかが出てきそうでちょっと怖いという言葉のほうがしっくりくるような・・・・。

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中もものすごくて、でも写真なんて撮れるような雰囲気でもなく、肩に力が入りまくって全くリラックスできませんでした(笑)

そもそも場所が郊外の山の上の森の中にあって、ちょっと覗きに来ましたー、みたいな雰囲気の人もいなくて、なんか「この人たち何してる人なんだろう?」って思うような人ばかりで、みんなとってもきれいに着飾っているし、ホテルだけど荷物をゴロゴロ引きずってチェックイン!みたいな人もいなくて、ロビーなんて美術館とか博物館とかそういうレベルを超えた王宮というかお城というか、絵とか調度品とか至るところに飾られていて、まるで映画の世界。こういうところがアミューズメントパークとかじゃなく、ちゃんと実在するのがヨーロッパだなあとすごく感じます。

なんかコメントが軽くて恥ずかしいのですが(笑)

レストランも音楽とかなくてシーンとしていて、食器の音と会話の声、そして暖炉で薪が燃える音が静かに響くそんな空間。しかも狭い(笑)。全部で、10テーブルとかそれぐらいしかなくてとてもこじんまりしていて、だからこそ余計に緊張する空間。

こちらホテルのHPに載っているレストランの写真。

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テーブルマナーとか言ってる場合じゃなくて、もう立ち居振る舞い全てが「これで合っているんだろうか・・・」と気になって仕方ない。

お値段も高っーーーいレストランに「招待券」で来てるところからして場違いなんですけど(笑)、まあほんといい経験をさせてもらいました、って感じです。

食事中も、「こういう空間って突然殺人事件とか起きて”キャーーー!”とかいう悲鳴が聞こえてきて・・・・映画だったらそういう展開だよねー」なんて、そんな軽い会話ばかりする私たち。

娘のことも心配だったし、「娘」のことが心配というより、娘が友達ファミリーにどれだけ迷惑をかけてるだろうか・・・ということが心配で、「今頃大丈夫かなあ・・・」とか数分に1回はそんな話をしたり、なかなか現実逃避してその空間に酔いしれて楽しむということができない私たち。

食事がおいしかったかと言われたらおいしかったんだけれど、色々緊張しすぎてあまり味わえなかったというのが正直なところ。でも、ちゃんとおしゃれして(ってそんなおしゃれは持ってませんが、一応ちゃんとして)、背筋がピンっとなるような空間で、自分の所作の一つ一つに意識して気を付けて、という時間も悪くはないなと。

仕事をしていた時は、たまにですけどちゃんとしたレストランに行ったりとか、そういうこともあったけれど、すっかり子供との普通の生活に慣れてしまって、なんかすごく久々な感じでした。ヒールを履いたのもかなり久しぶりでした。

周りから見たら、まったく慣れてない人に見えただろうけれど・・・、でもそういう空間で目に飛び込んでくる周りから受ける刺激みたいなのも久々でした。

そして上にも書いたけれど、こんな空間が本当に実在するんだ、ということがもう1番の感動というか驚きというか。

贅沢、ということではなくて、知らない、わからない、と恥ずかしい思いをしないように、娘が大きくなったら1年に1回なのか数年に1回なのかはわからないけれど、時にはちゃんとこうやってマナーを重んじて食事をするということも娘の経験としてできたらなあと、旦那とそんな話をする機会になりました。

娘を預けたり、すごいホテルで食事したり、なんだか色んなことがあった1日。友達の家に戻って娘が大きな迷惑をかけずに大丈夫だったと聞いた途端、ふわーっと肩の力が抜けて床に座り込んでいろんな意味で「ホッ」としました。

初めて娘を長時間預けて、あんなホテルで食事して・・・きっとこの日のことはこれからも忘れないと思います。

こんな機会をくれた同僚にも感謝です。