今日はちょっと硬い内容なのですが、ドイツのスポーツ事情について。
すごいなーと感心する内容でしたので、日本にも役立つかなと思って。
(って、そんな大きな話ではないですが、こういう世界があるんですよ!って話です。旦那から聞いただけなので諸々情報が間違ってたらすみません・・・)
ドイツのスポーツシステムは聞けば聞くほど感心します。
うちの旦那は卓球チームで(地味でしょ・・・)プレーしています。
卓球はドイツではサッカー、ハンドボールと並んで競技人口の多いスポーツで、中国や日本のアジア以外で、世界大会で名を連ねる唯一のヨーロッパだそうです(旦那談)
旦那が所属するのはとある小さな町のチーム。
小さな町といっても、1組6名の卓球チームが
男子3チーム、女子2チーム、子供5チーム出来るので計100名以上います。
年代も性別も様々、まさしく老若男女です。
大体どの町にもひとつは卓球チームがあり、近隣の町と10チームほどで地域リーグになっています。そのご近所リーグの上には、もうちょっと広い区域でのリーグがあり、どんどん上がってヘッセンリーグなどの州リーグになり、最後はブンデスリーガになります。
日本でいうなら、各都市にチームがあって、
区リーグ⇒都府県リーグ⇒関東リーグ⇒東日本リーグ⇒日本リーグ・・
みたいな感じでしょうか。またそれぞれに1部2部3部・・・とリーグがあります。
各チームには代表者や経理担当などボードメンバーがいて、
旦那のチームは大体の場合、暇な年金生活者か時間の取れる自営業者の人が代表になってくれるらしく、州ごとに「卓球運営組織」があり、その会議に参加したりします。
シーズンごとに地域で試合があり、その試合の組み合わせなどは全て運営組織がオーガナイズ。ホームとアウェイ、全ての年間試合がその組織により計画されます。
そして試合の結果は試合終了から2時間以内に本部に提出し、WEBサイトにUPされて、チーム結果、また個人結果とともにネットで全て確認できます。提出が遅れたらペナルティが発生するそうです。
同じような運営がドイツ中全ての地域で行われており、
先端はドイツリーグ、通称「ブンデスリーガ」までつながっているため、
自分の成績がドイツで何万何番目なのかがわかります。
もちろんそのランキングのトップはオリンピックや世界大会の選手!
全てがつながっているということがやはりモチベーションにもつながるようです。
チームを移籍する際は正式な届けが必要でちゃんとサインもします。
どんな小さな町のチーム移籍でもしっかりと届け出ます。
それぞれの組織、チームは利益を持たない組織(e.V)として運営されており
プレイヤーとしての費用は、年間70ユーロ程度(7000円ぐらい)です。
子供だともっと安いらしいです。家族会員の割引システムとかもあるらしい。
また同じ町であれば、いくつかのスポーツの掛け持ちもできるそうで
その場合、年間の費用は変わらないので、かなりお得です。
卓球の場合は、学校の体育館を無料で借りるため場所代はタダ。
シャワーなどの水道代、電気代もその学校からの提供となります。
ユニフォームこそ各自で用意するものの、
ボールや台など必要なものはその会費から支払われます。
もちろん1人70ユーロ程度ではチーム運営はやっていけないのですが、
地元のお祭りやクリスマスマーケットにチームで出店して小銭を稼いで運営費にしたり、
地元のお肉屋さんやパン屋さんなどにスポンサーのお願いをするそうです。
地元のお店も、地元のチームのためならと受けてくれるところも多いようです。
スポンサーとは言え100ユーロ、200ユーロ程度、1万円、2万円の世界なので、
よほど経営が火の車で無い限り、快く寄付してくれるそう。
うちの旦那のユニフォームには近所のピザ屋の名前が書かれています(笑)
また大きな街になれば、お金にも余裕が出てくるのか
スポーツジムを持っていて、その町のスポーツ会員であれば格安で利用できたりします。
サッカーなどは公式審判代が発生したり、柔道、剣道、空手などは教える人が必要なので講師代が必要だったり、会費に少し上下はあるものの、多くてもせいぜい年間100ユーロ(1万円)とからしい。
卓球の場合は、日ごろは自分たちだけで練習して、数ヶ月に1度、近くのチームから強い選手に来てもらってコーチをしてもらっています。また子供チームにはまとめる役の人が必要なので誰かに来てもらって謝礼を払ったりするそうです。うちの旦那も少し前まで子供の卓球チームのトレーナーをしていました。
まあ謝礼といってもほんの少しでしたが、結構忙しそうでした。
そのびっくりするほど完璧な組織が、全てのスポーツで存在します。
テニスもバスケも、ハンドボールもバレーも何もかも全て!!
もちろんサッカーも。その頂点がブンデスリーガですね。
バイエルンミュンヘンやドルトムントのあの“ブンデスリーガ”から
下がって下がって下がっていけば、町のチームにつながります。
全てがひとつの組織なのです。
有名なチームになれば、大企業のスポンサーがつきます。
試合をテレビ放映することで莫大な収入も入ります。
そのお金で有名な選手をとったりするんですね。
いまやバイエルンミュンヘンは、利益を持たない組織から、
バイエルンミュンヘン株式会社として会社組織へと発展したそうです。
何がいいたいかというと、このオーガナイズのすごさ!
ドイツ中で全てのスポーツがこの組織化になっています。
これ、すごいと思います。
そのため学校のクラブ活動などはまずありません。
個人経営のスポーツチームもほとんどありません。
みんながこの巨大組織の中でスポーツをします、しかも格安で。
そして、頑張って上手くなれば、才能があれば
どんどん移籍して上に上がっていって、ブンデスリーガまで行けるのです。
またリーグも強ければ上に上がれる反面、もちろん弱ければ下位リーグに落ちてしまいます。日本もサッカーのJリーグなどは1部に昇格、2部に降格ということがニュースになりますよね。地元のチームが昇格するというのは同じ街に住む者としてこの上ない喜びでサポーターも増えるしチームにとっても街にとっても良いことばかり。
日本のプロ野球のように万年変わらないセパ12チーム制。
それぞれのチームに1軍、2軍はあれど野球自体がリーグ制ではないので、
チームが入れ替わることも無く、毎年その12球団のなかで1位を決めるだけ。
13番目に強いチームがあったとしても、入れ替わるわけではないので
やはりその12チームに入ることを目指して野球少年たちも頑張ります。
ドラフトでは人生をくじ引きによって決められてしまったり・・・。
ドイツのサッカーがここまで人気があるのも、なんだかわかる気がします。
大げさかもしれませんが、全員に可能性がある。どんなちびっこでも、同じ組織にいることで夢が持てるし、手の届かない場所ではないのです。
そして面白いことにちゃんとオフシーズンもあるので
プレイヤーたちがお休みを取れるようになっています。さすが休暇大国!
部活ばかりで家族旅行にも行けやしない、という状況にはなりません。
聞けば聞くほどこのドイツのスポーツ事情にはびっくりしますし、
素晴らしく整った環境はすごいと思います。
どうやらオランダや北欧の国々ではもっと整っているところもあるらしく
逆にヨーロッパの他の国ではあまり整っていなかったりもするそうです。
そして驚くべきことに、ドイツのスポーツチームは歴史が深い!
こういう運営スタイルなので、その町のチームは
年々引き継がれていくので、チーム名に設立の年号が書かれていることもあり
1800年代だったりすることもあります。それほど長い歴史なのです!
時々旦那がこういう話を熱くしてくれるのですが
今まで適当に聞いていたものの、よく聞けばすごい組織でした。
日本だとせいぜい学校のクラブ活動、長くても大学で所属するものの、
社会人になってもそのスポーツを続ける人は少ないですよね。
時間的にも難しいですし。
もちろんドイツはそもそも残業とかもあまりなくて、平日でも自分の時間が持てるので、
引き続きスポーツを楽しんだり、社会人になったからといって辞める必要も無く、
おじいさんおばあさんになってもプレー可能です。
そして時々チームで集まってみんなでBBQしたり。
地元との係わり合いもまたできるんですよね~。
なんだか、考えれば考えるほどすごい組織だな・・・。